最後に紹介する「尊重」。
実は、XPの聖書「XP eXtreamProgramming入門」初版では、「尊重」が無く、「4つの価値」が紹介されていた。その後出版された第2版で、「尊重」という価値が1つ追加された。
これは、重要な事である。
XPを始めとする、アジャイルソフトウェア開発手法は、「ヒトの関連」を重要視している。そのため、XPでも「コミュニケーション」という価値が存在するが、恐らくそれだけでは足りなかったのではないかと想像している。
しかし、コミュニケーションには「情報・伝達」という意味はあるが、相手を思いやる人間性が薄いのではないかと考えている。一方、「尊重」(=respect)は、他人に対して敬意を払うという意味の言葉で、我々日本人が古くから重要視してきた概念である。
ただ単に情報を伝えるだけでは、有効なコミュニケーションは構築できないどころか、ミスコミュニケーションによるロスが発生する危険性がある。
情報を発信する際、相手を思いやり、「どうすれば正しく伝わるか」または、「どう伝えれば分かってもらえるか」そこまで考えて情報の伝達方法を考える必要がある。
上司は部下を思いやり、部下は上司を思いやることで、お互いに信頼関係が生まれ、良質なコミュニケーションを図ることができ、仕事をスムースに進めることができる。
ソフトウェア開発において、お客様、上司、部下、その他ステークスホルダー全員に対し「尊重」の気持ちを持つことが大切である。そうすることで、お客様が真に望むシステムを構築することができ、顧客満足度を向上させ、エンジニアの「お客様の役に立つシステムを作りたい」という欲求を満たすことが可能になる。
ここでやっかいなのが、「お客様」である。
「私達は、お金を払っているんだから、言う通りにシステムを作ってあたりまえですよね?」
というスタンスに立たれると、開発者はモチベーションを下げることとなり、結局お客様も欲しいシステムが手に入らない結果となってしまう。
お客様と開発者を上手に橋渡しするマネージャーの役割が重要になってくる。
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